動画紹介Video

【医師解説】片頭痛の正しい治し方〜頭痛薬は危険?〜

はい、みなさんこんにちは、鈴木 慶です。
前回は頭痛の考え方、特に緊張型頭痛と片頭痛の区別、誤解されている落とし穴についてお話ししましたが、今日は片頭痛の治療についてお話をします。

片頭痛は遺伝性の強い頭痛で、お母さんからの遺伝が5割ぐらいあると言われてますが、なんと女性の6人に1人ぐらいは片頭痛を持っているといわれています。

片頭痛は、だいたい小学校、中学校ぐらいから始まってくる方が多いんですが、35歳ぐらいまでに最初の発作が出ることが多くて、過去に5回以上同じ発作があった場合に、片頭痛という診断をつけることができます。
妊娠中は1回消えることが多いんですが、出産後は悪化しやすくて、50歳ぐらいから症状は軽くなり、60歳ぐらいで段々消えるというのが女性の片頭痛のパターンです。

もう1つ30〜40代の出産後のお母さんがピークの1つとすれば、ティーンエイジャーの高校生ぐらいの女性にもう1つのピークがあります。
ホルモンバランスの不安定さや、睡眠時間の乱れなどが原因の1つと言われています。

今申し上げたように片頭痛は、遺伝的な病気であって、最近の研究で遺伝子がどこにあるのかも大体わかったんですが、きっかけとしては女性の場合には生理、そして男女とも低気圧の急激な発達、特に15hPa以上落ちた時に起きやすいと言われています。
むしろ雨になってしまうと軽くなりやすいですね。

それから、食事によって起きる人もいます。
例えばコーヒーとか、それから色々な食べ物によって起きる人もいます。
睡眠不足や寝すぎという睡眠時間の乱れも、原因としては大変多いです。
さらに、朝ごはんを抜くような状態や、息遣いが荒くなる激しい運動がきっかけになる場合もあります。

まあこのような片頭痛に対しての治療は、実は鎮痛薬を使う治療は原則として禁忌です。
どうしても皆さん痛くて仕事にならない、学校に行けないというので、ロキソニンとかイブとかを買ってきて、飲みたくなるのは当たり前ですよね。

ところがここに大きな落とし穴があります。

鎮痛薬を月に10回以上、3ヶ月以上連続で使うと、ほぼ100%、4カ月目には鎮痛薬の中毒になります。
まあ薬物依存ですね。
一旦、薬物依存が始まりますと、脳がその薬を飲ませるために片頭痛を作ってきますので、薬を飲むと頭痛が悪くなるのにまた飲みたくなるということを繰り返し、連日連日鎮痛薬を飲むという非常に良くない状態になります。

これを従来は “薬物依存性頭痛” と言いましたが、最近は “メディケーションオーバーユースエディク”、【薬物過量投与性頭痛】という言い方をします。
これは、痛みに対して効くと、脳が感じた薬であれば、どんなものであっても同じものを使い続けると起きてしまう現象なので、皆さん月に10錠 - 3ヶ月が、ギリギリのタイミングだということを覚えておいてください。

ですからそんな回数飲まなきゃいけないほど発作が多く起きる場合には、他の治療をしておかないと、効き目がないだけでなくて薬物中毒患者になっちゃうんですね。

どういう治療をするのか。

これは片頭痛は実は脳の発作なんですね。
脳が突然興奮して、そしてエネルギーを使い果たして、その後に脳の血管が広がって起きてくる一連の現象なので、治療のポイントとしては、脳が発作を起こさないように、沈めておくお薬を飲むか、広がった血管を元の太さに縮めるお薬をお飲みになるかして、頭痛の原因をあらかじめ断つ、とういう予防治療が重要です。

この予防的なお薬が何種類かあります。

ですから鎮痛薬を買ってきて耐えるということをするのは、薬が良く効いて、月に数回で済んでる間は良しとしますが、効き目が悪くなり、10錠を超えるようであれば、是非、頭痛専門外来に行って、片頭痛の予防薬、また痛くなった時は片頭痛の発作を鎮める発作止めがございますので、こういったお薬をもらって治療を受けるようにしてください。
ただ、この発作止めも痛い時に飲むとよく効く薬ですから、この乱用も同じことになりますので、いずれにしろ月の回数が数回を超えた時には、可能な限り早く、予防的治療に切り替える必要があります。

片頭痛の治療はこれで終わりますが、もう1つ一次性頭痛でご説明してなかった群発頭痛について、触れさせていただきます。

群発頭痛は、片頭痛が女性に多いのと違って、男性に多いですね。
群発という名が示すように、これは1日のうちに何度も何度も発作が起きます。
1回の発作は1〜2時間です。
時には数ヶ月続きますが、多くの場合には数週間・毎日・数回ずつ頭痛が襲ってきます。

片頭痛よりもさらに酷い頭痛で、本当にあまりの辛さに皆さん救急車を呼びたくなるほど悪い方が多いんですが、この群発頭痛は【男性に多い】【1〜2時間でおさまるけども痛みは激烈】【1日数回・数週間】これを覚えてください。

症状はですね、顔の半分だけが、自律神経の症状が出ます。
例えば右側の頭が痛い人は、右の顔だけ真っ赤になって、右の顔だけ汗をかいて、右の目だけ涙が出て、右の鼻から鼻水が出るというふうに、ピエロの絵を描いたみたいな状態になります。

この激しい頭痛と、顔の半分に限定した涙や赤みの症状というのを見落とさなければ、診断は容易です。

群発頭痛は片頭痛よりもさらに辛くて治しにくい頭痛ですが、数週間経つとケロっと治ってしまって、数年間来ない事もありますので、予防的治療をずっとする必要はないんですが、群発頭痛が起きてる時は、予防薬をしっかり飲む事である程度抑えられます。

ワソランというお薬があるんですが、このお薬を1日6錠飲むと結構治まってきます。
それから、ロゼレムという睡眠薬があるんですが、メラトニンという睡眠ホルモンを増やすお薬なんですけれども、メラトニンが増えると群発頭痛が軽くなるので、このお薬を使うこともあります。
それから、プレドニンというステロイドが効く場合もあります。

もう1つですね、酸素吸入が有効です。
しかし、100%酸素でないと効かないので、スポーツ用品店や色んなところで売っている酸素は100%酸素ではないので、この酸素は医者から処方してもらわないといけません。
頭痛の専門外来に行ってですね、在宅酸素をお願いすると、酸素の会社の方がお家に来て酸素を据えつけてくれます。
この100%酸素6リッターを15分間くらい吸うと頭痛は軽くなりますので、発作の時は酸素を、医療保健が効きますので借りてですね、家に置いておくという事をすると大分楽かもしれません。

その他に発作止めとしては、イミグラムというお薬があるんですが、この片頭痛の時にも使うイミグラムを、自分で注射するキットが処方箋で出せます。
注射は難しくなく、1回使い捨ての処方箋で薬局で買えるものです。
このイミグラムもかなり効きますので、皆さんはお持ちになってた方が良いと思います。

ではまた次回お会いしましょう。